住宅ローンを組む際に最も悩むのが「変動金利と固定金利、どっちを選ぶべきか」という問題です。2026年現在、日銀の政策修正により長年続いた超低金利時代は転換期を迎えています。変動金利は依然として低水準ですが、固定金利はじわじわと上昇中。本記事では、両者のメリット・デメリットを徹底比較し、「あなたにはどちらが合っているか」の判断基準を明確にお伝えします。
変動金利と固定金利の基本を押さえる
変動金利とは?
変動金利は、市場金利(具体的には短期プライムレートに連動)に基づいて6ヶ月ごとに金利が見直されるタイプのローンです。ただし、返済額の変更は5年ごとで、変更幅も1.25倍までというルール(5年ルール・125%ルール)が適用されるため、急激に返済額が増えることはありません。
固定金利とは?
固定金利は、借入時に決めた金利が一定期間または全期間変わらないタイプです。固定期間選択型(3年・5年・10年など)と全期間固定型(フラット35など)があります。
2026年現在の金利水準
| 金利タイプ | 金利目安 | 主な銀行 |
|---|---|---|
| 変動金利 | 0.3%〜0.6% | 住信SBI、auじぶん銀行、PayPay銀行 |
| 固定10年 | 1.0%〜1.5% | 三井住友、三菱UFJ、みずほ |
| フラット35 | 1.8%〜2.2% | ARUHI、住信SBI、楽天銀行 |
シミュレーション:3,500万円を35年返済した場合
同じ3,500万円を借りた場合の総返済額を比較してみましょう:
| 項目 | 変動0.4% | 固定10年1.2% | フラット35 2.0% |
|---|---|---|---|
| 月々の返済額 | 89,370円 | 102,093円 | 116,168円 |
| 35年間の総返済額 | 3,754万円 | 4,288万円* | 4,879万円 |
| 利息総額 | 254万円 | 788万円* | 1,379万円 |
※固定10年は10年経過後に変動2.0%に移行した場合の概算
変動金利と全期間固定では、35年間で約1,125万円もの差が生まれます。これだけ見ると変動金利が圧倒的に有利に見えますが、問題は「変動金利がこのまま低い水準を維持するか?」という点です。
変動金利のメリット・デメリット
メリット
- 圧倒的に低い金利水準:0.3%台という超低金利
- 月々の返済額が少ない:余った分を投資や貯蓄に回せる
- 繰上げ返済との相性が良い:元金が早く減るため利息節約効果が大きい
- 金利上昇リスクにセーフティネット:5年ルール・125%ルールで急激な負担増を回避
デメリット
- 将来の返済額が不確定:総返済額を正確に計算できない
- 金利上昇リスク:日銀の追加利上げにより金利が上がる可能性
- 125%ルールの落とし穴:返済額は抑えられるが、返済しきれない利息(未払い利息)が発生する可能性
- 精神的な不安:「金利が上がったらどうしよう」というストレス
固定金利のメリット・デメリット
メリット
- 返済額が確定:家計の見通しが立てやすい
- 金利上昇リスクを完全に回避:どんなに金利が上がっても影響なし
- フラット35は審査が比較的緩い:自営業者やフリーランスでも通りやすい
- 精神的な安心感:支払い計画が狂わないため長期の家計設計がしやすい
デメリット
- 金利が高い:変動金利と比べて1%以上高い場合も
- 月々の返済負担が大きい:同じ借入額でも家計に余裕が少なくなる
- 金利が下がっても恩恵なし:固定の場合、市場金利が下がっても自分の金利は下がらない
2026年以降の金利見通し
日本銀行は2024年にマイナス金利政策を解除し、政策金利を段階的に引き上げています。2026年4月時点の政策金利は0.5%。市場では2026年後半にさらに0.25%の利上げが予想されています。
変動金利への影響は、短期プライムレートを通じて反映されます。仮に政策金利が1.0%まで上がった場合、変動金利は現在の0.3〜0.5%から0.8〜1.0%程度に上昇する可能性があります。
一方、固定金利(特にフラット35)は長期金利(10年国債利回り)に連動するため、すでに上昇が先行しています。2024年のフラット35金利は1.5%前後でしたが、2026年には1.8〜2.2%まで上昇しています。
あなたに合った金利タイプの選び方
📋 変動金利が向いている人
- 世帯年収が高く、金利上昇に耐える余力がある
- 借入額が年収の4倍以下と比較的少ない
- 繰上げ返済を積極的にする予定
- 10〜15年以内の完済を目指している
- 投資や資産運用に積極的で、金利差分を運用に回したい
📋 固定金利が向いている人
- 家計に余裕がなく、返済額が変動すると生活に支障が出る
- 借入額が年収の6倍以上と大きい
- 教育費など大きな支出が控えている
- 自営業やフリーランスなど収入が不安定
- 「安心感」を何より重視する
ミックスローンという第3の選択肢
「変動と固定、どちらか一方に決められない」という方には、ミックスローン(金利ミックス)という選択肢があります。借入額を例えば半分ずつに分け、片方を変動金利、もう片方を固定金利で組む方法です。
例えば3,500万円のうち2,000万円を変動0.4%、1,500万円を固定1.8%で借りると、変動のメリットを享受しながらリスクヘッジもできます。
まとめ:金利選びで後悔しないために
✅ この記事のポイント
- 変動金利は超低水準だが、金利上昇リスクが現実味を帯びている
- 固定金利は安心だが、変動との差額は35年で1,000万円超になることも
- 年収に対する借入比率と家計の余力で判断を
- 迷ったらミックスローンも有効な選択肢
- 繰上げ返済を計画的に行えば変動金利のリスクは軽減できる
よくある質問(FAQ)
Q. 途中で変動から固定に切り替えられる?
A. 多くの銀行で変動→固定への切替は可能です。ただし、金利が上がってから切り替えると、すでに高い固定金利で組むことになるため、「金利が上がりそう」と判断した時点で早めに動くことが重要です。
Q. 変動金利が3%まで上がった場合、返済はどうなる?
A. 3,500万円・35年・変動0.4%で借りて5年後に3%に上昇した場合、月々の返済額は89,370円→約132,000円(約48%増)になります。125%ルールにより一時的に約112,000円に抑えられますが、未払い利息が発生し、返済期間が延びるリスクがあります。
Q. 住宅ローン審査に有利な金利タイプは?
A. 銀行は審査時に「審査金利」(3〜4%程度)で返済能力を判断するため、変動・固定ともに審査の通りやすさに大きな差はありません。ただしフラット35は年収基準が比較的緩いため、銀行ローンで落ちた場合の代替候補になります。

